料理の味を決めるのはだし。そして、だしの良し悪しを決めるのは、素材と掛ける手間ひまです。久右衛門は、その素材と向き合って百二十余年。原料選びから製法まで、昔ながらのやり方を頑なに守り続けています。要となるかつお節は、名産地として300年以上の歴史を持つ鹿児島県・枕崎産。丁寧に水揚げされた中から職人自らがかつおを選び、港のすぐ近くで加工を行っています。
カンカーン…。久右衛門のかつお節を叩きあわせると、固く澄んだ音がします。これは水分がぬけた良質なかつお節の証。もちろん、一朝一夕にできあがったものではありません。時季ごとの気温や湿度にあわせて微妙に掛ける手間を変えていく。ここにも長年の経験があって、はじめて分かる職人の知恵が息づいているのです。
職人による手作りは、時代が変わっても、変わることはありません。例えば1本のかつお節をつくるのにかかる時間は、短くて半年、長いものでは実に約1年。燻しと乾燥だけでも約ひと月を費やし、その間もかつお節の方向を釜の中で朝晩変えながら、万遍なく水分を飛ばしていきます。さらに上等の本枯節は、風味を豊かにするためにカビ付けし天日に干す工程を5回以上繰り返すのです。「ひとの手が百回さわって初めて本物の鰹節が生まれる」。創業者、林久右衛門のこの言葉こそ、本物の味と国産素材の安心にこだわる、私たちの変わらぬ原点と言えます。
かつお節づくりでは、各工程で熟練の職人たちが作業を行っています。その工程も、生魚を舟形にしていくだけで「生切り」「煮熟」「骨抜き」が必要。なかでも骨や皮、うろこなどを取り除く骨抜きは、1本1本手で行うため、とても時間のかかる作業です。こうした手間を惜しまない下準備を経て、ようやく「焙乾」「カビ付け・天日干し」「熟成」といった本格的なかつお節づくりにとりかかれます。
久右衛門のだしの特徴のひとつに、“削り節”を使っている点が挙げられます。一般的によく使われる粉末ではなく、風味と旨みが素早く溶け出す、この形にこだわりました。正直、粉末に比べて削りの方が加工の手間はかかります。ですが、良いものをつくるために妥協をしないのが私たちの基本姿勢。そして、百二十余年、ただひたすらに素材と向き合ってきた誇りです。私たちしか出せない伝統の味わいを、ぜひご賞味ください。







鰹だしとあごだしのあわせだしで、いつもの料理が変わります。